今や,“腰痛”に関する情報を,本やインターネット,テレビなどを通して,非常に簡単に入手できる時代です.
なんとインターネットで『腰痛』というキーワードで検索すると,約40,800,000件(2008年8月現在)もの情報が出てきます.
しかしこれらの情報は,一般的な,いわゆる教科書に書かれているようなことがほとんどです.みなさん一人ひとりの顔が違うように,腰痛も十人十色です.したがって,『腰痛体操』といっても,やはり人それぞれの症状に合わせたものが望ましいのは明らかです.
腰痛を特集した某番組での1シーンをご紹介しましょう.
視聴者からの質問に対して,ゲスト出演していた医師が答える一場面です.
70歳代女性視聴者
立ち仕事を続けると左の腰が痛くなります.姿勢が普段から左に傾いていると言われます.
姿勢と腰の痛みは関係あるのですか?
医師
姿勢と腰痛には大いに関係あります.左側に傾いていると言うことは左側の筋肉に負担がかかっていることです.
負担がかかっている筋肉が硬くなっている場合はストレッチが有効です.
筋肉のアンバランスにより腹筋が衰えている場合がほとんどなので,腹筋のトレーニングが非常に重要でしょう・・・
「左側に傾いていると言うことは左側の筋肉に負担がかかっている」???
本当にそうでしょうか?それでは下の写真AとBを見てみましょう.両肩を黄色線で結ぶと,AとB両方とも左に傾いた姿勢であることが分かります.しかし何か違います.何が違うのでしょうか?
そこでAとB両方に,両足の真ん中から垂直に赤線を引いてみます.
そうすると,Aは主に左側に体重が,Bは主に右側に体重が寄っていることが分かります.体を支えるためには,体重が寄っている側の筋肉がより働かなければならないので,この場合,Aは左側の筋肉に,Bは右側の筋肉に負担がかかっているということです.